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zoom RSS 【読んだ本】サウスバウンド/奥田英朗

<<   作成日時 : 2006/02/23 01:51   >>

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前々から気になっていたのですが、ついに読みました。
これが初・奥田英朗さんです。
奥田さんについても、作品についても
まったく予備知識を持たずに読みましたが、
おもしろかった!
笑ったし、ハラハラドキドキしたし、元気になったし、感動もしたし、
痛快だし、清々しいし、考えさせられるところもあった。
しかし、この作品、ネタバレしないように書くのが、ものすごく難しそう!
ので、印象を中心に書いてみますね。

主人公は中野に住む小学校6年生の男子、上原二郎。
父親は元過激派で、仕事もせずに家でゴロゴロしていて、自称作家。
父の書いた原稿がもうすぐ本になるのだという。
父の名は、上原一郎。
父親が一郎で、息子が二郎。名前からしてなんかヘンだ。

父親が働かない上原家は、母親が経営する喫茶店の稼ぎで生活しているようだ。
母親の名は、さくら。
さくらと一郎かよ。
(超蛇足ながら、2/22に『平成枯れすゝき』リリースだそうです(爆笑))

くだらないことはさておいて、『サウス・バウンド』ね(^_^;
元過激派のアナーキスト、こともあろうに我が子に向かって
「学校なんて無理して行かなくてもいいんだぞ」なんて言っちゃう
豪放磊落なのかただの破天荒なのか判らない、
しかもいずれは南の島に移住することを企んでいる父・一郎に、
家族が翻弄される様を、主人公(二郎)の視線を通して描いた物語です。

物語は「第一部」と「第二部」に別れた構成になっていて、これが悩ましい!
「第二部」について書くこと自体が、
ある種「第一部」のネタバレになってしまうような気がするのです。

「第一部」では、区立小学校に通い、中野ブロードウェイを放課後の遊び場にする二郎が、
親友の淳や向井、クラスの女子のサッサやハッセ、不良中学生と付き合っている黒木、
そして当の不良中学生、カツ、そして大学を出たての担任の女先生、南先生などと、
いわゆる都会の小学生が過ごす日々の生活の中で、
超迷惑な元過激派の父親に翻弄されつつ、人間関係を深めていく青春ストーリーです。

父親が、家庭訪問に来た南先生に共産主義的思想の議論を挑みかけたり、
修学旅行の費用について疑義を申し立てて学校に乗り込んだり、
二郎本人としては迷惑千万なのだけど、どうしようもなかったり…。
そうかと思えば、黒木が付き合っている不良中学生のカツに
暴力を振るわれたりカツアゲされたり、それでもカツに立ち向かっていったり…。

そんな、小学生なりに、
怒ったり困ったり憤ったりビビったり泣いたり考え込んだり感心したりしながら、
友だちとの関係を作り上げていく様が、なんだか清清しい。
「第一部」の終わりあたり、二郎と黒木が解り合ったところなんて、
ほんと、涙が込み上げてしまいました。

さーて、「第二部」については、先述の通り「第一部」の展開をバラすことになるので書きません。
が、舞台は変わっても、子どもってコミュニティを形成することで成長するんだな、ってことが
返す返す感じられる内容です。
むしろ環境が変わるからこそ解りあえる親子や家族の関係も描かれていて、
ハラハラドキドキする場面展開もありますが、
基本は、家族、親子、兄弟、そして子ども自身が作る自分周辺のコミュニティ、
それらの中で、自分自身が、考え、強くなり、納得し、かけがえのなさを感じてゆくさまが、
本当に胸に響く良いストーリーです。

そして、元過激派の父が吐くセリフ、二郎自身が自分の中で思うこと、
そんなことを通じて、読者である私は反省する気持ちにもなりました。
だって、本当に正しいことが語られているんですよ。
でもその一方で、オトナは「正しさ」だけじゃ生きていけないことも知っている自分がいて、
それでも「正しく」ありたいことを望んでいる自分もいて…。

笑えちゃうところもありながら、ちゃんと考えさせられるところもある作品。
一言で言っちゃうと、『サウス・バウンド』という小説はそんな感じなのかもしれないけど、
これは是非、いろんな人に読んでほしい傑作だと思います。

サウス・バウンド』 奥田英朗 著
角川書店 \1,785-
サウス・バウンド

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◆ サウスバウンド 奥田英朗 
サウス・バウンド奥田 英朗 角川書店 2005-06-30by G-Tools 主人公は、東京中野の小学生・二郎君。二郎君自身は、マンガの好きな、いたって普通の少年なのですが、両親が元過激派で、かなり変わっています。特に、父親はすごいです。公務員は国家の手先とばかり、誰彼かまわず食ってかかり、税金も年金も断固として払わず、とうとう「国民をやめる!」などと言い出すしまつ。しかも、いつか作家になると言いつつ、無職でずっと家にいる。 ...続きを見る
IN MY BOOK by ゆうき
2006/02/23 23:06
サウスバウンド
サウス・バウンド ...続きを見る
本のある生活
2006/02/24 10:22
◎◎「サウスバウンド」 奥田英朗 角川書店 1785円 2005/6
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2006/02/25 13:34
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「本のことども」by聖月
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サウス・バウンド奥田 英朗 元過激派のお父さん、喫茶店を経営するお母さん、21才で家にあまりいないお姉さん、小4の妹桃子、そして小6の僕。1部、中野。小6の二郎は思春期をむかえ、家でゴロゴロして、人に会えば問題ばかり起こすお父さんを軽蔑している。学校で... ...続きを見る
ナナメモ
2006/02/25 22:58
「サウス・バウンド」奥田英朗
サウス・バウンド発売元: 角川書店価格: ¥ 1,785発売日: 2005/06/30売上ランキング: 1,302おすすめ度 posted with Socialtunes at 2005/11/24 ...続きを見る
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2006/02/27 02:08
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サウス・バウンド奥田 英朗 角川書店 2005-06-30売り上げランキング : 9191おすすめ平均 Amazonで詳しく見る by G-Tools 僕の父さんは元過激派とかいうやつで、いつも家にいて小説を書いている。学校なんか行く必要ないとか言うのだけれだけれど……。少年の視点を通して、変わり者の父に翻弄される家族を描く、長編大傑作! この家族面白すぎ!(笑) お父さん全然妥協しませんね。絶対国民年金を払わないところとか。大杉栄とか、あそこらへんを彷彿とさせる・・。 馬鹿だけど憎... ...続きを見る
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2006/06/05 21:42
「サウスバウンド」 奥田英朗
サウス・バウンド 奥田 英朗 ...続きを見る
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奥田英朗著 「ウランバーナの森」を読む。 このフレーズにシビれた。  来たのか、とジョンは身を固くした。次の瞬間、自分の体からザーッと音を立てて血の気が引いていくのがわかった ...続きを見る
ご本といえばblog
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コメント(18件)

内 容 ニックネーム/日時
トラバありがとうございました。これ良かったですよね。ちょっと、長かったけど。本屋さん大賞をとれるといいなあと思っています。ではでは。
ゆうき
2006/02/23 23:22
本題と関係ないのですが、『平成枯れすゝき』大爆笑。
また、カップリング曲にも興味津々です。
KOH
2006/02/24 01:51
笑ったり、じーんとしたり、清々しい気持ちになったり・・読んでいて楽しい本でした。本屋さん大賞とれるといいなぁと私も思いますが、他にもいい本がノミネートされてたりで、かなり複雑です。
june
2006/02/24 10:33
>ゆうきさん、juneさん

本屋大賞にノミネートされているのですね。
調べてみたら(http://www.hontai.jp/)、
他にも良い作品がいっぱい!
私が読んだ中から選ぶとしたら、う〜ん…悩む!
でも、「読んで欲しい」ならこれかな。
こばけん
2006/02/24 10:53
>KOHさん

まさか、そのネタに食いつく人がいるとは思いませんでした(笑)
こばけん
2006/02/24 10:54
「平成枯れすゝき」私も笑ってしまいました。こげぱんさん、リンクまで貼っていてすごいです!
「第二部」について書くのってそういえばネタバレですね。気がつかなかった。
一郎の筋の通し方憧れます。憧れるけど自分は出来ない。憧れているだけじゃいけないんでしょうけど…面白い上にそんな事もちゃんと考える事ができる本でしたね。
なな
2006/02/25 22:57
>ななさん
コメントとトラバありがとうございます。
ここにも「平成枯れすゝき」に反応した人が!(笑)

一郎父さんには、本当に教えられましたね。
もちろん同じようには生きられないけど、でも考え方は見習いたいと思いました。筋の通った大人になりたいです。
こばけん
2006/02/26 01:20
いま気がついた!
ななさん!
私は「こげぱん(http://www.san-x.co.jp/pan/)」ではなく、
「こばけん」なのです!
こばけん
2006/02/27 02:46
あーん。こばけんさん、すみませんでした。
前にどなたかのブログのコメントを見て「こげぱんじゃなくてこばけんさんなんだ」って思ってたのに、最初に勝手に「こげぱん」→「こげたアンパン」って想像してしまったので、どうも「こげぱんさん」ってイメージが強かったのです。
リンクまで貼っていただいてありがとうございました。
やはりあの「こげぱん」のイメージを勝手に頭の中で作ってたのですね。
以後気をつけます。ごめんなさい。

なな
2006/02/28 22:04
あっはっは。
私の中ではネタのひとつですので、お気になさらず。
コメント返していただいたのが、かえってオイシイです(笑)
かつてmixiのプロフィールページの画像を本当に「こげぱん」にしたら、
軽く混乱したので、あわててやめた経緯もありましたっけw
こばけん
2006/02/28 22:28
ついでといってはなんですが、こちらにもお邪魔しますー。
私も「サウスバウンド」は大好きです。
お父さん、インパクトありますよね。
事なかれ主義の現代で、自己主張のできる彼に、すごく考えさせられました。テーマはしっかりしてるのに、奥田さんの作品は説教くさくないのがいいです。
ブラッド
2006/03/06 13:48
これが初めての奥田作品でした。グイグイでしたね。
中野が舞台ってことで持ってかれ、たのかと思ったら、んんにゃ。
とうちゃん大嫌いくらいのノリ(迷惑な人は嫌い、近くなればなるほど)だったのが、カックイイぜ!とうちゃん!!ってな具合に。
のびのび生きたいもんですね。
ぴー(ピー夕一)
2006/05/12 14:11
>ぴー夕一さん
コメントありがとうございます。
とうちゃん、カックイイよね!
姉ちゃんもなかなかです。いい家族だな。
こばけん
2006/05/12 21:02
こばけんさん。TB残しただけなのにわざわざコメント書き込みに来てくださってありがとうございました!!
こばけんさんのブログは本と映画が併用なのですね。やぎっちょは分けているのですが、本のブログ(の左下)の方にリンクを貼らせていただきました。不都合などあったら言ってください。
本&映画色々と参考にさせていただきますね!
やぎっちょ
2006/05/18 16:55
>やぎっちょ さん
リンク、ありがとうございます!
嬉しかったり照れくさかったり…(^^)
【小説・文芸に強いブログ】なんて、ちょっと畏れおおいですけど(笑)
こばけん
2006/05/27 18:55
こんにちは。コメント&TBどうもありがとうございました。
『平成枯れすゝき』
すみません、知りませんでした!早速飛んでみたり。
エラクのほほんとした高年齢デュオだのう。(´∀`)

お父さんの台詞に結構説得させられました。自分の家族だったら絶対いやですけどね(笑)
分厚さなんて忘れてしまうほどの面白さでした。表紙も好きです。
moji茶
2006/06/05 21:45
いや〜、よい話でしたね!
めちゃくちゃな男という意味では伊良部に通じるものがある一郎だけど
なぜかこちらは感動させられる・・・。
散々めちゃくちゃやっといて、最後は気持ちのいい終わり方でした。
奥田さん、こっちで直木賞あげたかった(って「空中ブランコ」読んでないのに)。
びー玉
2006/06/22 22:26
>びー玉さん
私も「空中ブランコ」まだですが、こっちで直木賞あげたいw
つーか、本屋大賞は絶対コレだと思ってたのに!
こばけん
2006/06/23 11:35

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