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zoom RSS 【読んだ本】女王様と私/歌野晶午

<<   作成日時 : 2006/03/01 22:21   >>

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あいかわらず歌野晶午は
登場人物の年齢性別が判らない。
ここが彼の巧いところなのでしょう。
本作『女王様と私』も驚きどころが満載です。

真藤数馬は、「ニート」「引きこもり」「オタク」「ロリコン」と、
世の中の白い目を恣にする、筋金入りのパラサイト。もちろん独身。
せいぜい外出しても近所のコンビニとファミレスと、ときどき秋葉。
誰と会話をすることもなく、同居する両親とすら、
以前に「仕事に就きなさい」とか「職業訓練を受けてはどうか」などと
口やかましく言われたのにキレてしまい、
父親を仕事を休まなければならないくらいボコボコにして、
母親にも顔にケガをさせて以来、ろくに口をきかない。

会話をするのは、“妹”として「絵夢」と名付けた人形くらい。
本人としては、コンビニや秋葉に出かけるのだから、
少なくとも「引きこもり」だとは思っていない。

そんな真藤数馬を、“外の世界”へと連れ出したのが「女王様」。
オタクでロリ男の数馬を、「ヴァカ、ヴォケ、デヴ!」と今風の口汚さで罵り、
「おまえ、相変わらずすっぱクサイな」などと辱め、
自分の命令は絶対とばかりにケータイで突然呼び出しては、
メッシュのベストみたいなオタク丸出しファッションの男とは歩けないと、
数馬の見えないところから携帯電話による遠隔操作で服を買わせ、
まずは身なりを整えさせる。
そして高級フレンチや銀座の寿司屋で当然のごとくおごらせ、
人気アイドルグループのプレミアが付くほどのコンサートチケットを取らせたりする。
数馬は、女王様のような来未(くるみ)におののきつつも、その美しさに惹かれるものもあって、
汚い言葉で罵倒侮辱されるながらも、来未に相手にされていることに、
どことなく快感を感じ始めていたりもする。

その女王様、河合来未が、ある事件をきっかけにがらりと豹変し、か弱い女の子となるのだ。
事件とは、オナ小オナクラ、同じ小学校の同じクラスで仲良くしていた
クラスメイトの女の子、杠詩音が、カッターナイフで首を切られ死亡するという殺人事件。
事件未解決のまま、第2の殺人が起きる。
今度は青山にあるオフィスビルの地下街のトイレで、
やはり同じ年頃の女の子、楢葉凛々香が同じ手口で殺害され、
どちらも死体には睡蓮の花がそえてあったという。
これは模倣犯ではないという来未。
なぜなら凛々香も、オナ小オナクラで同じチームに属していた仲良しで、
次は自分の番だと来未は怯えているのである。

数馬は、か弱き女の子となった来未をなんとか安心させてやりたくなり、
みずから事件の調査に乗り出すが、
話を聞こうとして訪ねていった元担任の老教師、増田輝明が自宅で殺されていたり、
同じ日に教師宅の近くで、同じチームだった佐島香菜莉が殺害されて発見されたりして、
ついに数馬は、連続殺人事件の容疑者にされてしまう。

※ここから先は、ややネタバレ警報※

次々起こる殺人事件、容疑者にされてからは数馬の逃走劇、
そして逃げている間にも更に起きる殺人…。
この物語がつづられている章には、「真藤数馬のめくるめく妄想」なる副題が付けられている。
ここがミソ。

4回まで使える「切り札」とやらも登場して、
事件はますますあらぬ方向に進展してしまい、どうなるのかと思いきや、
その先には、さらに思いもよらない結末が用意されています。

オタクやニート、ギャル言葉で書かれた妹“絵夢”のセリフなど、
イマドキの風俗をふんだんに盛り込んだ作品で、
物語そのものも、どうなっちゃうのか分からないところが、かえって読ませる。

が、結末には、いまひとつ肩すかしを食らった感が…。
途中の物語が、あまりにはちゃめちゃに展開して面白かった分、期待しすぎたか。
「やられた」と言えば「やられた」し、「あり」と言えば「あり」なのだろうけど、
『葉桜の季節に君を想うということ』でガーンと感じた、
あの「やられた」感には、ちと届かなかった気がする。

女王様と私』 歌野晶午 著
角川書店 \1,680-
女王様と私

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「女王様と私」歌野晶午
女王様と私歌野 晶午 主人公真藤数馬は無職で引きこもりでロリコンで、話相手は人形の妹「絵夢」だけ。ところがある日、女王様のように我侭な「彼女」に出会ったことで事件に巻き込まれていく。 うーん。歌野さん始めて読みますが、どうなんだろう?選択間違えましたか?... ...続きを見る
ナナメモ
2006/03/03 00:12
女王様と私 [歌野晶午]
女王様と私歌野 晶午 角川書店 2005-08-31 真藤数馬はいわゆる「ひきこもり」。ある日、大事な妹・絵夢と出かけた先で彼が出会ったのは…。   いや、もう、とにかくびっくりしました。平らな道をまっすぐ歩いていたと思ったら、急に段差があってガクンと落ちたみたいな気分を、何度も何度も味わいました。少なくとも十回は落ちた(落とされた)と思います。かなりひどく腰を打ちました。ほんとに。もう。度肝を抜かれっぱなしでした。 ...続きを見る
+ ChiekoaLibrary +
2006/03/03 11:33
「女王様と私」 歌野晶午
女王様と私posted with 簡単リンクくん at 2006. 1.31歌野 晶午著角川書店 (2005.8)通常24時間以内に発送します。オンライン書店ビーケーワンで詳細を見る ...続きを見る
今日何読んだ?どうだった??
2006/03/03 21:33
「女王様と私」歌野晶午
女王様と私発売元: 角川書店価格: ¥ 1,680発売日: 2005/08/31売上ランキング: 1,891おすすめ度 posted with Socialtunes at 2005/12/27 ...続きを見る
本を読む女。改訂版
2006/03/04 23:51
■ 女王様と私 歌野晶午
女王様と私歌野 晶午 角川書店 2005-08-31by G-Tools 真藤数馬44才。ロリコン、オタク、パラサイト。ほぼひきこもり。「妹」の絵夢と、2人だけの妄想の世界で生きています。この「妹」、実はフィギュアなのですが、彼は「妹」の魂がそれに宿っていると本気で信じているので、「妹」を人形だと言われると怒ります。 ...続きを見る
IN MY BOOK by ゆうき
2006/03/13 23:03
「女王様と私」(歌野晶午著、角川書店)を読む
 ある意味、 「今の日本の最先端をいく小説」かも知れない。 主人公は44歳のニート(34までが ニートと呼ばれるらしいので厳密には違う?)。 ...続きを見る
いんでぃご日記
2006/04/07 21:41
女王様と私、歌野晶午
装画:ena。2003年刊行の「葉桜の季節に君を想うこと」が「このミステリがすごい!」「本格ミステリベスト10」で第1位、第57回日本推理作家協会賞、第4回本格ミステリ& ...続きを見る
粋な提案
2006/04/20 17:59
『女王様と私』歌野晶午
女王様と私 歌野 晶午 2005年 角川書店 ★★★★★ 外に出て感じたことがある。 なんか楽しい。 「なんか」が何かはわからない。実利があるのかもわからない。 けれど、なんか楽しい。自分が今ここに存在していると、確かに感じる。 ……もしそれが現実のものとなったら、きっかけを与えてくれた彼女は、真の意味でぼくの女王様である。 無職でオタクでひきこもりの真藤数馬の目の前には、その夜、贅沢なご馳走が並んでいた。 口うるさく話しかける母親の言葉は耳に入れず、ただ食物を口に入れるだ... ...続きを見る
ほんだらけ
2006/07/05 23:42

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コメント(11件)

内 容 ニックネーム/日時
>あいかわらず歌野晶午は登場人物の年齢性別が判らない。
確かにそうですね。最初の文章を読んで勝手に想像してた主人公のイメージ、ことごとく裏切られました。
ラストは作家が「あり」とすれば「あり」なんでしょうけど、でもねー。
まぁ、ギャル語について色々聞いて回るきっかけになったのでよかったです。
なな
2006/03/03 00:11
オチがどうこうというよりは、この本全体になんというか、悪酔い(?!)した感じでした(笑)。いや〜すごかった。表紙の裏まですごかったです…。
chiekoa
2006/03/03 11:34
未だに表紙の裏見れてないんですよね,これ。
毎回毎回新しい顔を見せてくれる歌野さんってすごいなぁとしみじみ思います。ギャル語の勉強にもなったし。ほんとにどこでこういうの仕入れてるんだろう??
mamimix
2006/03/03 21:36
>ななさん
ラスト部分を何回か繰り返して読んでいるうちに、だんだん納得してきました。
最初に読んだときは、振り上げた拳をどこへ?!的な感覚だったんですが。

>chiekoaさん
たしかに「悪酔い」しますねぇ(笑)
表紙の裏も!
全部読み終えてから表紙の裏を読むと意味がわかるんですよね。

>mamimixさん
ギャル語の勉強、たしかになりましたね。
縁遠いところで暮らしたいとは思いますが(笑)
こばけん
2006/03/04 17:06
こばけんさん、TBありがとうございました。
実はミステリーが苦手なのですが、売れている本を読もうとすると避けて通れないんですよね。
それで最近はミステリーにもだいぶ慣れてきまして、なかでも、この本はなかなか楽しめたように思います。
ありえないようでいて、入り込んでしまえば納得してしまう(させられてしまう?)世界、でした。
藍子
2006/04/07 22:12
>藍子さん
TBとコメントありがとうございます。
この本も確かにミステリーといえばミステリーなのですが、
歌野さんの場合、「落とし穴」を楽しむという側面があると思います。
『女王様〜』が楽しかったとすれば、
歌野氏の出世作『葉桜〜』もきっと楽しめると思いますよ♪
こばけん
2006/04/08 00:45
はじめまして。
リンクをたどってうかがいました。
盛り上がってるサイトですね。
「女王様と私」の記事をトラックバックさせていただきます。
コメントやTB返しなどいただけたらうれしいです。
お気軽にどうぞ。
藍色
2006/04/20 17:50
TB返しとコメントありがとうございます。
ミステリの本を始めたばかりのサイトですが、また合う記事がありましたらトラバさせていただきます。
これからもよろしくお願いします。
訪問・コメント・TB・TB返しお気軽にどうぞ。
またきますね。
藍色
2006/04/22 14:52
>藍色さん

2度の訪問ありがとうございます。
こちらこそ、よろしくお願いします。
こばけん
2006/04/23 09:28
こばけんさん、はじめまして(^^)
こんなのあり?と思ってしまいましたが、ありなんですね。
「葉桜…」まだ読んでないので、楽しみです。
では、では。
uririn
2006/07/05 23:51
>uririnさん
TB&コメントありがとうございます。
私の“押しかけTB”にお応え下さって(^^)

『葉桜…』は、また違うパターンの“裏切り”攻撃ですので、お楽しみに☆
こばけん
2006/07/06 01:41

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