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zoom RSS 【読んだ本】隠蔽捜査/今野敏

<<   作成日時 : 2006/04/04 20:25   >>

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2006年吉川英治文学新人賞受賞作
面白かったっ!
読後に爽快感すら残る警察小説。
直木賞にノミネートされた
横山秀夫の『震度0(ゼロ)』にも通じる作品だなぁ、と考えていたら、
さすが、Amazonは芯喰ってるぜ!
「あわせて買いたい」で「どちらもおすすめ!」していました。
わたくしからも、どちらもおすすめです。

主人公の竜崎伸也は、東大卒の46歳。
警察庁長官官房の総務課長という地位にいるキャリア官僚。
国家を司る官僚に純粋な使命感を持ち、
キャリアであることのプライドに満ちた、
むしろ実際には存在しないのではないかと思えるほどの、
絵に描いたようなキャリア官僚。
娘の縁談について妻から相談され、
「俺は国のことを考える。おまえは家のことを考えてくれ」などと、
決め台詞のつもりで言ってしまう、「変人」と言えるくらいクソ真面目な役人なのです。

仕事をする上で一切の感情を排除し、何が正しくて何が正しくないのか、
どうすることが理に適っていて、どのような選択が適正なのかを常に冷静に判断するタイプ。
しかしその確固たる姿勢を揺るがすような自体が竜崎を襲います。

発端は、東京・足立区で起きた殺人事件。
殺されたのは30歳代の暴力団組員だが、経歴が良くなかった。
男は80年代の後半に起きた、誘拐・監禁・強姦・殺人・死体遺棄事件の実行犯で、
当時、少年だったために、わずか三年という刑期を経たあと“社会復帰”していたのだ。

過去の事件の関係者による復習か、あるいは無関係か。
いずれにせよマスコミには格好の餌食となりそうな事件だが、
警察全体のマスコミ対応に責任を持つ立場の竜崎は、それを許すわけにはいかない。
センセーショナルな報道は極力避けたいとマスコミに根回しした矢先、第2の殺人事件が。
しかも被害者は、やはり過去の同じ事件の共犯者であるうえに、
拳銃を使うという犯行の手口も、やはり前回と同様だという。

二つの殺人事件の容疑者と、過去の事件の容疑者との繋がりがますます疑い深くなる中、
竜崎は、浪人中の息子が違法行為に関わっていることを知る。
法や規律を守り適切に行動することが最善の選択であると心から信じる竜崎には、
まことに信じがたい事態であり、精神的ショックを隠せないが、
そうした中、第3の殺人事件が起き、3つの事件の特徴から、
竜崎は、あってはならない衝撃の真相に気付いてしまうのである…。

竜崎の予想は果たして真実なのか、捜査はどのように進展していくのか、
そして身内の不祥事にはどのように対処すべきなのか。
自らの倫理観と官僚社会の組織論のはざまで苦悩するエリート警察官僚。

小学校も同じ同期だが、私大卒でキャリアのステップは竜崎よりやや遅い警視庁刑事部長の丹羽、
良く気が付き頭も回るが、まだ仕事に甘さが残る腹心の部下、警察庁広報課長の谷岡、
竜崎と同じ課長職だが小心者で狡猾な刑事局捜査一課長の坂上、
竜崎の上司である牛島参事官、そのライバルである阿久根刑事局長。
まさにキャリア官僚の情報戦と立場論と根回しと建前、スリリングな展開です。

しかしそこに垣間見える人間関係に心を動かされます。
特に同期の丹羽や部下の谷岡との人間関係は、
「正しさ」だけを拠りどころに信念を貫いた竜崎に救いをもたらしてくれたと思います。
また、20年間連れ添った妻の冴子の存在にも感謝せずにはいられないでしょう。

そして、竜崎のように、ここまで正義を貫ける官僚が本当に存在すると信じたくなります。


隠蔽捜査』 今野敏 著
新潮社 \1,680-
隠蔽捜査

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隠蔽捜査/今野敏
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黒猫の隠れ処
2006/11/28 16:36
「隠蔽捜査」を読みました
今野敏氏が書いた警察小説、「隠蔽捜査」を読みました。 ...続きを見る
えせプログラマのつぶやき
2008/07/12 08:08

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