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zoom RSS 【読んだ本】イン・ザ・プール/奥田英朗

<<   作成日時 : 2006/05/29 01:48   >>

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いやー、なんで今まで手を出さなかったんだろ。
自分でもびっくり。
すーげーおもしろかったっす!
患者じゃなくても、イヤ、むしろ患者じゃないから(?)、
伊良部にくびったけです。

奥田ファンには、なにをいまさら騒いでるの?
シリーズ3作目の『町長選挙』だって出たじゃん。
せめて『空中ブランコ』が直木賞獲ったときに騒ぎなさいな。
と、冷たい目線を向けられそうですが、
恥ずかしながらこの期に及んで伊良部初体験です。
ハマった!

伊良部というのはこの作品の登場人物、神経科の医師・伊良部一郎。
5編の連作短編からなる作品で、
それぞれ「伊良部総合病院」の神経科を訪れた患者と医師のやりとりを描いています。

第一話「イン・ザ・プール」
患者:ストレスが原因で“内臓が学級崩壊みたい”になってしまった雑誌編集者・大森和夫、38歳。
医者:5歳児のように欲望の赴くまま行動し発言する精神科医・伊良部一郎、太った色白の中年。

第二話「勃ちっ放し」
患者:別れた妻への未練が原因か?アソコが常に臨戦態勢になってしまった営業マン・田口哲也、35歳。
医者:5歳児のように欲望の赴くまま行動し発言する精神科医・伊良部一郎、太った色白の中年。

第三話「コンパニオン」
患者:美貌とスタイルには自信たっぷりなのだがストーカーの陰におびえる元レースクイーン・安川宏美、24歳。
医者:5歳児のように欲望の赴くまま行動し発言する精神科医・伊良部一郎、太った色白の中年。

第四話「フレンズ」
患者:友達と繋がっていないのが不安なあまりケータイメールを打ちすぎて
   手が痙攣するようになってしまった津田雄太、高校2年。
医者:5歳児のように欲望の赴くまま行動し発言する精神科医・伊良部一郎、太った色白の中年。

第五話「いてもたっても」
患者:何度確認しても煙草の火の始末が気になって外出もままならなくなってしまったルポライター・岩村義雄、33歳。
医者:5歳児のように欲望の赴くまま行動し発言する精神科医・伊良部一郎、太った色白の中年。

どの患者も、端から見れば症状も原因もバカバカしいものなんだけど、
当の本人にしてみれば大まじめ。深刻な事態なのです。
ところが、幸か不幸かたまたま掛かってしまった神経科の医師、伊良部は、
患者の神経を逆撫ですることばかり。

不安を胸に神経科のドアをノックすると、「いらっしゃぁ〜い!」と脳天気な声。
ここは温泉旅館かと思うくらい場違いな迎えられ方をして診察室に足を踏み入れると、
想像していた「カウンセリング」とか「精神分析」とかとは遙かにかけ離れた会話が展開されます。

それぞれの主人公も「無神経にもほどがある!」「こいつほんとに馬鹿なんじゃないか?!」
とか思ったりもするのですが、馬鹿とか変人には癒し効果でもあるのか、
軽々と人に相談できるような悩みじゃない彼らは、
次第に伊良部の存在を求めるようになってくるのです。

ホント申し訳ないけど、物語の中の患者さんたちの悩みっぷりも
「くだらねぇ!」って感じで可笑しければ、
それに対する伊良部の受け答えも「バカじゃないの?!」ってくらいめちゃめちゃ可笑しい。
「ふつうならキレちゃうよ」と思うようなことをスルッと言っちゃう伊良部も伊良部なら、
ムカッとしながらも何故だか聞いてしまう患者も患者。
それでも潮が引くみたいにいつの間にかすぅっと病が治っちゃうんだから、
やっぱり伊良部って名医なのかも。

「現代社会って病んでるよな」なんて解ったようなセリフを小難しい顔して言ってみたりするけど、
このくらいスコーン!と突き抜けた感じで対処しちゃったら、
案外、元から何でもなかったように思えてくるのかなぁ、なんて思ってみたりもする。
気忙しいような気がしたり、悩みが多いような気がしたり、物事難しく捉えてみたり、
「俺たちに安息の日々は来るのかぁ?」なんて、
べつに大した苦労も悩みもないくせにホザいちゃってるヤツら(わたし?)に向かって、
「コイツらの悩みや症状と大差ないぞー」なんて言われちゃった気がしますね。

そうそう、伊良部と患者の関係も笑えますが、クールなスタンスを崩さない看護婦、
胸のボタンを3つも開けて、注射のたびに白衣の裾から太ももを露わにするマユミちゃんも
かーなーり!気になる存在です(笑)

イン・ザ・プール』 奥田英朗 著
文藝春秋 \1,300-
イン・ザ・プール

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タイトル (本文) ブログ名/日時
イン・ザ・プール
この本に出会ったのは、二年以上前。最近、文庫になって店頭に平積みされています。 表紙の深い海のような青に惹かれて手に取ったのですが、帯にはちょっと引いてしまいそうなコメントが・・・。興味をひかれつつも、精神病の見本市か?と中を見ずに、戻してしまいました。 それからしばらくして図書館でまたこの本と出会ってしまったのです。 今度は、迷わず借りました。 ...続きを見る
眠れない夜のことば遊び
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ぱんどら日記
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ぱんどら日記
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ぱんどら日記
2006/06/05 23:25
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イン・ザ・プール 奥田 英朗 ...続きを見る
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【心療内科 カウンセリング@情報部屋】心理テスト強制ではありませんが、了解を得た上で行なうこともあります。心理テストは、患者様自身の性格傾向や考え方の特徴、落ち込んでいる度合いなどを客観的に捕らえて、今まで気づかなかった自分の部分(性格や心理状態)に気... ...続きを見る
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コメント(11件)

内 容 ニックネーム/日時
読んだことないんだけど(というか奥田作品はあれがお初)、
これって阿部ちゃんがドラマでやっていなかった?
第三話を佐藤なんちゃらって子で見かけたような…。
ぴー(ピー夕一)
2006/05/29 12:28
>ぴー さん
えーっ、そうなの?!と思ってググってみたら、どうやら阿部ちゃんがドラマでやったのは、続編の『空中ブランコ』(直木賞受賞作)の方らしいです。
こちら『イン・ザ・プール』は、松尾スズキ(もちろん伊良部役)が映画化したとのことでDVDも出ています。
レンタルめんどくせぇから買っちゃおうかな。
こばけん
2006/05/29 12:48
あ、あっちが『空中ブランコ』なんだ。
>レンタルめんどくせぇから買っちゃおうかな。
本代だけでなくDVD代もかかりますな。
イメージ的には、松尾に一票。(読んだことないけど)
ぴー(ピー夕一)
2006/05/29 16:41
と、言ってるそばからAmazonでカートに入れちゃいました。
もちろん自分のアフィリエイト経由ですw
こばけん
2006/05/29 18:46
トラックバックさせて頂きました。奥田さんは、この作品が出会いでした。すでに三作目まで出てからハマったのは、ある意味正解です。町長選挙は、空中ブランコから、2年も待たされたので(^_^;) 「ガール」「マドンナ」もお勧めです。
松尾さんの伊良部が観たいなー。
こおろぎ
2006/05/30 00:04
>こおろぎさん
TBとコメントありがとうございます。
なるほど、立て続けに伊良部を読めるのは幸せですね(笑)
とはいいつつ、職場の女の子があんまり勧めるので『ガール』を読み始めました。
松尾さんの『イン・ザ・プール』は、近々届くはずですので、観たら感想をアップしますね。
こばけん
2006/05/30 02:41
ブログ移転しました。そして「伊良部医師」のキャスティング案を書きました。よろしく♪
ぱんどら
URL
2006/06/05 23:24
最近あちこちでこの本のレビュー見かけるんですよね。
こばけんさんも読んだのね・・・しかも面白かったのね・・・。
と気になっていたら、本日図書館で発見。
借りてきました〜。
楽しみです。
びー玉
URL
2006/06/13 19:51
>びー玉さん
コメントありがとうございます。
レビューも楽しみにしてますね。
こばけん
2006/06/13 19:54
「空中ブランコ」も「町長選挙」も伊良部シリーズだったんですね。
こばけんさんは、もちろん読みますよね?
図書館派の私としては、予約しないと読めなさそう・・・。
私は「イン・ザ・プール」と「いてもたっても」がよかったです。
びー玉
URL
2006/06/16 11:44
>びー玉さん
TB&コメントありがとうございます。
「空中ブランコ」「町長選挙」、もちろん読みます。
まだ買ってませんが。
私は5編の中では「イン・ザ・プール」と「勃ちっぱなし」かなぁ(笑)
とくに「勃っぱなし」の方は、疾病の解消のされ方が痛快です。
こばけん
2006/06/17 16:10

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