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zoom RSS 【読んだ本】ウルトラ・ダラー/手嶋龍一

<<   作成日時 : 2006/07/04 02:39   >>

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帯に「これを小説だと言っているのは著者だけだ!」とある。
さすが前NHKワシントン支局長が書いただけあって、
詳細な描写がかなりのリアリティを帯びている作品です。
タイトルの「ウルトラ・ダラー」とは、超精巧な偽ドル札を指しています。
物語は、ダブリンで新種の偽100ドル札
“ウルトラ・ダラー”が発見されるところから始まり、
その偽ドル札が、どこで、どのような思惑のもとに作られ、
そして、その裏に隠された謀略が克明に暴かれていきます。

さて、今回は普段と違った趣で作品を紹介してみたいと思います。

スティーブン・ブラッドレー
…英国の名家出身でありながら、BBC東京支局のラジオ特派員。
 彼が持つ“もうひとつの貌(かお)”では、
 イギリス秘密情報部の命を受けて諜報活動を行い、
 ラジオ番組「シネマ紀行」の取材を隠れ蓑にして、
 様々なインテリジェンス(機密情報)を入手する。
 愛車はブリティッシュグリーンのMGBロードスター・コンバーティブル72年型。

ケビン・ファラガー
…アイルランド労働党党首だが、裏ではIRAの武闘派を陰で支える黒幕。
 英国秘密情報部は、「レッド・フォックス」のコードネームで呼び、
 北朝鮮、新種の偽百ドル札との関わりを疑う。

サキ
…東京・湯島のブラッドレー邸に住み込みで働き、
 スティーブンの身の回りの面倒をみている。
 スティーブンを乳飲み子の頃から知る老婦人。

マイケル・コリンズ
…オクラホマ出身のアメリカ人で、シークレット・サービス捜査官。
 「偽金ハンター」の異名をとる仕事に身を投じている。
 スティーブンとはオックスフォード時代のクラスメート。
 偽ドル札製造のために北朝鮮が30年も前から、
 日本の熟練印刷工を何人も拉致していたとのインテリジェンスをスティーヴンにもたらす。

オリアナ・ファルコーネ
…シークレット・サービス主任捜査官。マイケルのボス。
 コロンビアのドル偽造拠点を一網打尽にして「狐の女王」と呼ばれる辣腕捜査官。

高遠希恵
…内閣官房副長官。内閣の外交・安全保障政策を総攬する。
 凄腕の調整能力を武器とする女性高官で、各方面に太いパイプを持つ。
 通貨マフィアとの地下水脈を通じて偽ドル札に関わるインテリジェンスを得ている。
 趣味で鼓の稽古に通う。

瀧澤勲
…外務省アジア大洋州局長。アングロファイル(=イギリス贔屓)の快活な紳士。
 豪放磊落、大胆で、かつ繊細・慎重な外交官。
 大阪天王寺の舟橋に地元の鍼灸師の家に生まれ、
 一橋大学在学中に外交官試験にパスした経歴を持つ叩き上げの官僚。

ジミー・ジャコヴィッツ
…シークレット・サービスのモスクワ要員。
 偽ドル札流通の「ハブ」になっているとの疑いで北朝鮮大使館を監視する。

槙原麻子
…スティーブンの「篠笛」の師匠でガールフレンド。
 凛とした気品に溢れ、和服の似合う美女。
 邦楽演奏者としては若手だが、新橋の花柳界では知られた存在で、
 政財界の有力者にも弟子を多く持つ。
 英語と北京語を流暢に話す知性派の女性。

橋浦雄三
…ハイテク技術で精巧な偽札探知機を開発する「橋浦マシネックス」の創業社長。
 80年代の終わりに出現した北朝鮮製の偽100ドル札「スーパー・ダラー」を
 確実にはじき出すことのできる検知器を開発して躍進。
 浮世絵コレクターで、競走馬サイレントギャラクシーのオーナー。
 サイレントギャラクシーは、名種牡馬サンデーサイレンスの傑作と言われる名馬で、
 ギャラクシーの弟・サイレントディテクターも所有。

瀧澤泰子
…サイレントギャラクシー、サイレントディテクターの共同馬主。
 瀧澤アジア大洋州局長の妻。

長峯俊二
…橋浦マシネックス常務で同社函館研究所の所長。橋浦社長の腹心。

成島行彦
…「日本マイクロチップ」の主任技師。
 100ドル札のセキュリティー・スレッドに埋め込むための無線ICタグ開発の責任者。

ネタバレを恐れて、あえて「粗筋」ではなく「登場人物」を紹介することで、
本作『ウルトラ・ダラー』について触れてみたつもりですが、これでも実はネタバレ寸前!(^o^;

上記で役者はほぼ出揃った状態で、
“北”を震源地と目される超精巧偽ドル札「ウルトラ・ダラー」をめぐる物語が展開しています。

主人公となって物語の中心で動くのは、冒頭で紹介したスティーブン。
彼が米国シークレット・サービスのコリンズと連携をとりながら、
ドル偽造、ロシア、北朝鮮、中国などに関わるインテリジェンスを入手しながら、
問題の核心に近づいていこうとするのですが、
疑惑を読み解く過程で浮かび上がってくる国家同士の外交上の思惑、
そしてその思惑に沿って動いた真の暗躍者とは誰なのか?!
「北」によるウルトラ・ダラー製造の動機は、それによって得た世界の基軸通貨を、
朝鮮半島をめぐる軍事的均衡を破り、核弾頭の照準をワシントンに合わせるための
資金捻出にある、という説は本当なのか。

「これを小説だと言っているのは著者だけ」だとしたら、
戦慄すべき事実が明かされた問題作だと言わざるを得ません。
ただ、ラストの展開だけは、ちょっと作りすぎたなぁ、という感想を持ってしまいましたが。

日本の戦争責任や、朝鮮半島、台湾との外交政策、拉致問題などなど、
日ごろから見聞きして考える機会の多い事象が、
「ウルトラ・ダラー」出現の背景に隠れていることが描き出されていて、
「ダヴィンチ・コード」では皮膚感を得にくかった私ですが、
本書は非常にリアリティのあるストーリーとして流れ込んできました。


ウルトラ・ダラー』 手嶋龍一 著
新潮社 ¥1,575 (税込)

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
これは私も読みましたけど……実に感想を書きにくい本ですよねぇ。
ぱんどら
URL
2006/07/04 09:01
>ぱんどらさん
書きにくいですよねぇ。書きにくかったです。
こばけん的には、かなりおもしろかったんですけど。
こばけん
2006/07/05 00:27

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