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zoom RSS 【読んだ本】終末のフール/伊坂幸太郎

<<   作成日時 : 2006/07/05 21:14   >>

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いまはとにかく『砂漠』が直木賞獲ってくれれば、
なんっにも言うことはないです。
↑冒頭部分後日差替予定(笑)

↑やー、いまさらなにも言うますまい…

相変わらずの伊坂節、軽妙なタッチですんなり読めました。
終末のフール』。
良くも悪くも、チカラ抜けてんな〜、という感じ。

書き下ろし、というわけではなく、
「小説すばる」に2004年2月から2005年11月にかけて、
3ヶ月に1話のペースで掲載された連作短篇です。

それにしても、明らかにタイトルから入っちゃってるよなー、
という印象たっぷりです。
本書『終末のフール』に収められた8つの短篇のタイトルは、

「終末のフール」
「太陽のシール」
「籠城のビール」
「冬眠のガール」
「鋼鉄のウール」
「天体のヨール」
「演劇のオール」
「深海のポール」

縦方向に1文字ずつ拾って読んでいくと、実はあるキーワードが!
なんてことは、まるでない。
あ、これは前作か。

脇に逸れましたが、『終末のフール』は、
残り寿命があと3年となってしまった人たちの、営みとつぶやきと叫びが描かれた短編集です。
登場人物たちの余命が3年、なのではなく、
地球の、世界の終わりが3年後に迫っている中で生きる人たちが、それぞれに描かれています。

8年後、小惑星が地球に衝突することが確実になったと発表されたのが5年前。
それからの5年間というもの、人々は絶望し、世を捨て、理性を捨て、正気を失い、
暴動、略奪、無差別殺人、その他凶悪犯罪、あるいは自殺、心中に走って、
秩序や治安や社会そのものが崩壊し、小惑星の衝突を待たずとも、
勝手に人類が滅んでしまうかと思えるほどの荒廃・混乱を極めたが、
そうすることに人々が疲れたのか、本格的に諦めたからなのか、
あるいは恐怖に耐えられなかった者たちはあらかた死んでしまったからなのか、
残り3年となった今、不思議と世の中は静けさを取り戻している。

それでも3年後に世界が終わる、という恐怖や不安が無くなったわけではなく、
やはり終末に向かって生きていかなければならない。
人々は一体なにを感じ、なにを思い、どんな行動を取るのか。
それぞれが胸に秘める不安や恐怖や諦めややるせなさ、負の感情があふれる中に、
ほんとうの人間らしい“清々しさ”のようなものを見つけることのできる優しい作品です。
現実にそんなことが起こったとしたら、
きっと人はそんなふうに居られないかもしれないけど。

8つの短篇それぞれのストーリーは、ここでは割愛することとして、
登場人物は皆、仙台の高台に建つマンション「ヒルズタウン」の住人なのですが、
それぞれの物語に登場する人たちの絡みあい方はサスガ。これぞ伊坂節。

「終末のフール」の老夫婦と一緒に公園の木を見上げる、「冬眠のガール」の20代の女性。
「冬眠のガール」の女の子に、恋愛の話をする「太陽のシール」の主人公の妻。
「太陽のシール」の主人公・富士雄と、草サッカーを楽しむ「深海のポール」の渡部。
「深海のポール」の渡部が営むレンタルビデオ屋でビデオを借りる、「終末のフール」の老夫婦。
渡部のレンタルビデオ店では、他にもいろんな人がビデオを借りている。
渡部の父は、「籠城のビール」でアナウンサーだった杉山の家に
二人の怪しい男が入っていくのを見かけ、心配して杉山家に電話をかける。
終末が来てしまうのに妻が妊娠したことで「太陽のシール」の富士雄が深く悩んでいるとき、
郵便ポストの上に置きっ放しになっているのを見て暗い気持ちになったグローブは、実は…。
などなど。書きすぎるとネタバレちゃうよ(^o^;

とはいえ、ここで超ダイジェストの相関図を読んだところで、たぶん本を読む時には忘れていて、
「おっ、この人こんなところに!」「この子、例のあの子じゃないか?」と、
見つけるたびに嬉しい気持ちになれるはずです。

8つのお話しの中では、私は「終末のフール」がいちばん好きかな。

追記(7/11):終末のフール特設ホームページはこちら

終末のフール』 伊坂幸太郎 著
集英社 ¥1,470 (税込)

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終末のフール、伊坂幸太郎
立体:引地渉。撮影:高橋和海。ブックデザイン:鈴木成一デザイン室。 2000年「オーデュポンの祈り」で第五回新潮ミステリークラブ賞、2004年「アヒルと鴨のコインロッカー」で第二五回吉川英治文学新人賞、短編「死& ...続きを見る
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コメント(10件)

内 容 ニックネーム/日時
伊坂さんが書くと
「終末」もこんなに、優しい人の話が集まるのか・・・
と、いつにも増して感動しました。
名言の宝庫ですよねこの作品。

私は、「天体のヨール」の二宮君の「星好き」の貫き具合が好きです。
nanayo
URL
2006/07/06 21:29
こばけんさん、こんにちは。
もしかすると、「女王様と私」以来でしょうか(汗)。
同じ本の記事をトラックバックさせていただきます。
それぞれのエピソード同士が、密接にリンクしていましたね。
8年前から5年経ち、後3年という設定が、バリエーション豊かなドラマを編み出した、と思います。

もしトラバが届かないときは、下記の直接リンクからお越しください。
リンク反映されない場合は、お手数ですが、コピペでどうぞ・・・。
<a href="http://1iki.blog19.fc2.com/blog-entry-91.html" target="_blank">粋な提案・終末のフール</a>
藍色
URL
2006/07/10 01:13
>nanayoさん
ヨール、ヨールって、
なんだそりゃ、って感じですが、
『砂漠』の西嶋くん的な感じもあって、
良いですよね、二宮くん。
“くん”て、40代か(笑)

ほんと、この本は素敵なセリフの宝庫です。
抜き書きしてたらキリがないのでやめましたけどw
こばけん
2006/07/10 02:46
>藍色さん
コメントとTBありがとうございます^ ^
小康状態、という時期が生み出したドラマなのかもしれませんね。
そう考えてみると「鋼鉄のウール」の苗場さんはスゴイなぁ!
こばけん
2006/07/10 03:01
こばけんさん、こんばんは。
すべての物語が少しずつ関係してて、最後にみんな登場(「天体のヨール」の矢部は出てきていなかったような気がしますが…)さすが伊坂さん!でした。
なな
URL
2006/07/10 22:31
>ななさん
コメントとTBありがとうございます。
ベランダのシーンと櫓のシーン、素敵ですよね。
矢部さんは、たまたまベランダに出ていなかったんじゃないかなぁ、と思うようにしました。
こばけん
2006/07/11 01:03
ひとつひとつの話が、最後にまとまって・・・
というのもすごくいいなと思いました。
リンクというのではなくて、全部でひとつという感じでしょうか。

実は、「終末のフール」の平積みの上に「直木賞受賞!」という
本屋の光景を妄想してたんで、「砂漠」が候補ときいて
力が抜けました。
でも、伊坂さん応援してます!
june
URL
2006/07/11 12:38
>juneさん
コメントとTBありがとうございます。
そうですね。
「リンク」というよりは、全部でひとつの世界ですね。
特設HPを見ると、一層そういう気分になってきます。
↑本文に追記でリンクを入れました。
こばけん
2006/07/11 20:18
ああ、なんかすっごい外人さんからのスパムが上に(苦笑)。アルファベットだけで構成されるコメントは拒否する、とかできますよたしか。もしよければお試しください。
わたしもこの作品「タイトルありきだよな」と思ってたんで、こばけんさんの忌憚のない意見はスバラシイと思いました!!いえほんと。
まみみ
2006/09/11 20:28
>まみみっくすさん
スパムコメント防御方ご教授感謝!
早速設定しました。
「半角文字のみのコメントを拒否する」って設定があるんですね。
ワールドワイドなフレンドたちからの気さくなアプローチに少々弱っていたところでした(^_^;

>タイトルありき
あら。ちと正面からツッコミすぎましたかw

コメント&トラバありがとうございました。
こばけん
2006/09/12 11:58

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