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zoom RSS 【読んだ本】チョコレートコスモス/恩田陸

<<   作成日時 : 2006/08/16 17:48   >>

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あっという間に引きこまれ、ぐいぐい読みました。
500ページもなんのその。
一時たりとも休みたくないほど続きが気になって、
本を閉じている間のもどかしいこと!
オビに「熱狂と陶酔の演劇ロマン」とあるのも頷けるほど、
スピード感と臨場感に溢れたストーリー展開です。
恩田さんって演劇人だったの?!と思ってしまうほどで、
自分としては恩田作品への新たな発見もありました。

スランプに陥ってさっぱり筆が進まない売れっ子脚本家の神谷が、
昔の演劇仲間が構えている事務所の窓から、
ふと駅前のロータリーに目を遣ったときに見かけた不思議な少女。
佐々木飛鳥は、人混みの中にいる誰かに目を付けると、
それがキャバクラ嬢であろうと中年のオバサンであろうと、
その対象の特徴や雰囲気、身振りや言葉遣いなどを、
たちどころに、しかも完璧に真似できてしまう。
この娘はいったい何者なのか?

謎の少女、飛鳥は、演劇についての経験はゼロというものの、
天才的な演技力と身体能力を発揮して、男ばかりの小劇団に入団し、
劇団に偶然訪れたチャンスもあって、分不相応の有名劇場で初舞台を踏むことになる。
ここでも飛鳥は驚くべき才能を見せ、2日間の舞台でまったく違う演出を演じ分ける。
とても旗揚げ公演とは思えないほどの出来映えに沸き上がる劇場の客席には、
響子がロータリーの少女とは気づかず、彼女の演技に瞠目する神谷がいた。

一方、もう一人の若き天才女優、東響子は、
役者一家に生まれ、物心ついた頃には当たり前のように舞台に立ち、
若くして数々の賞を受けて、役者としての将来を嘱望される立場となっていた。
もちろん俳優という職業は好きだし、演技というものをもっともっと追求したいという気持ちもあるが、
キャリアを重ねながら21歳になった今、気が付いたらなっていた俳優という職業に、
“自ら選び取った”ものではないが故の迷いを抱えている。
気鋭の演出家、小松崎実が率いる新作『ララバイ』に主役級でキャスティングされるが、
その稽古場でも、なんとも説明のしようのない違和感がぬぐえずにいる。

そんな中、映画界の重鎮、芹澤泰次郎が、二十年ぶりに演劇会に復帰し、
都心の一等地に建設される新国際劇場の柿落としに新作を掛けるため、
大々的にオーディションを行うという噂を耳にする。
なんでも女二人の芝居で、何歳でも演じられる俳優を使う、との触れ込みだ。
どうやら、『ララバイ』で共演している18歳のアイドル女優、安積あおいや、
響子の従姉で、やはり役者をしている6歳年上の宗像葉月には声がかかっているらしいが、
響子には何のオファーもなく、響子は迷いを抱えながらも、焦りが沸き上がってくる。
そして、この新作の脚本の仕事を、スランプにもかかわらず、神谷は引き受けてしまう。

結局、響子には声がかからないままオーディションが行われる。
いてもたってもいられず、響子は『ララバイ』の大阪公演が終わったあと、
東京のオーディション会場へ押しかけるが、どうしても受けさせてくれないという。
そして、そのオーディションには、佐々木飛鳥も呼ばれていた。

オーディションでは、とうてい実現できるとは思えない課題が示され、
おそろしくハイレベルで、難しいオーディションが繰り広げられる。
天賦の才能を持つ役者たちは、どこまで行ってしまうのか…

物語の後半は、ほとんどオーディションのシーンが描かれていますが、
この作品の見所は、なんといっても演技シーンです。

新垣剛や梶山巽らのいる小劇団で、入団テストとして飛鳥が演じるエチュードにはじまり、
芹澤の新作でのオーディションで繰り広げられる、とてつもなく難易度の高い舞台シーン、
若き才能がしのぎを削ってわたりあう演技と演技のぶつかりあいなど、
そのスピード感、リアリティ、目にうかぶ舞台風景…、とてもではないけれど目が離せず、
胸に熱いものがこみあげ、背中を冷たいものが這い上がる感覚をおぼえるほどです。

『三月』シリーズや『常野』シリーズ、『ネクロポリス』や『ユージニア』、
『ネバーランド』や『夜のピクニック』で味わったのとは、ひと味もふた味も違う、
新しい恩田ワールドを堪能しました。

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チョコレートコスモス』 恩田陸 著
毎日新聞社 ¥1,680(税込)
チョコレートコスモス

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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
いつも私が感想を書くのを断念した作品を
すらすら〜っと美しくまとめてしまうこばけんさん・・・
うう〜ん、またやられた(笑)
これ、書けなかったです。
確かに、今までのシリーズとは違った恩田ワールドでしたよね。
私も一気読みしましたよ〜。
びー玉
2006/08/16 22:11
恩田陸は苦手なんですが、これはとてもよい読み物だったと思います。
ただ、振り返ってみると、「読み物」なんですよね、この作品。
それが悪いというわけでなく、事実として、ね。

すの
URL
2006/08/16 23:11
>びー玉さん
こめんとありがとうございます。

白状すると、かなり苦労しました。
ちくちく書き重ねていくとものすごく長くなっちゃって、
えいやっ!と思い切ってまとめました。
「すらすら〜っ」じゃないですよ(^_^;
でも、良い作品ですよねーっ!
新・恩田ワールドです^^

またよろしくお願いします。
こばけん
2006/08/17 02:42
>すのさん
コメントありがとうございます。

そう!ハラハラドキドキしながら、
次は?次は?と読み進める読み物ですよね。
世界観の構築、ではなく、エンタテイメントに徹した作品なので、たくさんの人に勧められると思います。
こばけん
2006/08/17 02:46

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