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zoom RSS 【読んだ本】クローズド・ノート/雫井脩介(再掲)

<<   作成日時 : 2006/08/17 02:37   >>

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雫井脩介が恋愛小説?
書店の平積みで見かけて目を疑ったが、
どうやら間違いないらしい。
雫井脩介といえば『犯人に告ぐ』で、
劇場型犯罪とメディアとの絡みを、
リアルでスリリングに描いた、あの雫井さんである。
『火の粉』や『白銀を踏み荒らせ』もたいへん素晴らしく、
押しも押されぬミステリー作家ではないか、と思いつつ、
気になってしまったら仕方がない、
一応、何ヶ月か逡巡してみたモノの、やはり買ってしまった。

ストーリー展開はあまりに解りやすく、
「たぶんこうなるんだろうな」と予想したことが、
ズバリその通りに展開していくにもかかわらず、
肝心な部分では不覚にも泣いてしまった。

教育大学に通いマンドリンクラブに所属する二年生の香恵は、
ひとり暮らしをしているマンションのクローゼットの中に、
前の住人の忘れ物らしいノートを発見する。
表紙には「伊吹’s note」とのタイトル書き。
人のノートの中を見るのも悪い気がするし、
そのうち忘れ物に気がついて、前の住人が取りに来るかもしれない、という思いもあって、
香恵はクローゼットの中に、ノートをそのままおいてある。

アルバイト先の文具店で「万年筆フェア」をやるというので、
文具店の社長の娘、可奈子さんから、
その期間だけ万年筆売り場に立たないか、と持ちかけられる。
もともと万年筆が好きで、万年筆売り場に立つ可奈子さんに憧れて、
文具店のアルバイトを申し込んだようなものだから、
可奈子さんからの申し出は、自分を認められたような気分で、香恵は嬉しくなります。

万年筆売り場に立つ香恵の前に、二人の男性が現れます。
ひとりは、アメリカに留学中の親友、葉菜ちゃんの彼氏で、
行政書士をしている25歳の鹿島さん。
葉菜ちゃんと付き合っているくせに、鹿島さんは香恵に接近してこようとして、
香恵はどう接して良いのか対応に困ってしまう。
もうひとりは、イラストを描くための万年筆を探しに来たという
イラストレーターの石飛隆作(いしとび・りゅうさく)さん。
鹿島さんよりももう少し年が上だが、香恵としては石飛さんの方が気になる存在。

そうはいっても、特定の彼氏が居るわけでもなく、親友の葉菜ちゃんは留学中。
香恵が所属している大学のマンドリンクラブは、秋の定期演奏会が一年間のメインイベントで、
演奏のあとにはステージで友達や家族、恋人などから花束を受け取ったりするのだが、
香恵には花束をもらえるアテがない。
ひとり過ごすマンションの部屋で、寂しさや人恋しさを感じ、孤独感に浸ろうとしたときに、
ふと思い当たったのが、クローゼットの中の“忘れ物”。
今日こそは正体を明かしてもらおうと思い立ってひもとくのです。

そこにあったのは、一年間担任を務めた真野伊吹先生にあてた、
4年2組の子どもたちからのメッセージカードと、
伊吹先生が日々の出来事や想いをつづったノートでした。
ノートを書くのに伊吹先生が使っているのも、やはり万年筆。
このときから香恵は伊吹先生のノートを読むことに夢中になっていきます。

授業のためのアイデアや、クラスで話をするためのネタ、
毎週子どもたちに配る「太陽の子通信」の草稿、
クラスの中でちょっとでも良いことをした子にあげる「伊吹賞」のこと、
忘れ物をする子どもについて、転校していってしまう子について、
不登校になってしまった君代ちゃんのこと、君代ちゃんのお母さんとのやりとり、
持病の喘息のために苦しい想いをしたこと、
そして、伊吹先生が想いを寄せる男の人のこと。

香恵は、仕事に恋に伊吹先生を応援しながら、
ノートの中の伊吹先生に自分を重ねて、自分自身も励ますのです。
マンドリン演奏会での意外な展開、可奈子さんへの恋愛相談、
そうした日々の中、何気なく開けたマンションの窓の下に、偶然なのか石飛さんを発見します。
石飛さんは驚き戸惑いながらも、「香恵の部屋を見せて欲しい」という奇妙なリクエスト。
香恵も戸惑いながら石飛さんを部屋へ招き入れるのですが、
さらに石飛さんからは、絵のモデルになって欲しいという依頼をされ、
どうしたわけか二人の距離がぐっと近づいたような感じになります。

二人はこのあとどんな風に近づいていくのか、
香恵に接近しようとしている鹿島さんとの関係、それに葉菜ちゃんの立場は…
それよりなにより伊吹先生のノートには、この先どんなことが書いてあって、
伊吹先生は今どこにいるのか…。

正直、展開は読めすぎるほど読めてしまいました。
想像したとおりに物語が進んでいって、いざその場面になっても驚かないはずでした。
もちろん驚きはしなかったし、予想通りの展開だったのですが、
肝心のシーンでは涙がこみあげてしまいました。
電車の中あたりで読んでいたら危ないところです。

そして、伊吹先生と子どもたちにまつわる描写がものすごく感動的で、
これは香恵じゃなくても、小学校の先生という職業に憧れを抱いてしまうほどです。
リアリティに溢れていて、溌溂としていて、愛情に満ちているなぁ、と思っていたら、
あとがきを読んでその理由がよく解りました。そういうことだったんですね。

ときに微笑ましく、ときに切ない、優しい作品です。


ところで、Amazonで「この商品を買った人はこんな商品も買っています 」ということで、
「チーム・バチスタの栄光」海堂 尊、
「ガール」奥田 英朗、
「容疑者Xの献身」東野 圭吾 、
「町長選挙」奥田 英朗
が紹介されていた。
なぜかe-honでも似たような傾向。
流行りモノ、ということなのだろうか。トホホ。

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クローズド・ノート』 雫井脩介 著
角川書店 ¥ 1,575 (税込み)
クローズド・ノート

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クローズド・ノート雫井 脩介 角川書店 2006-01-31 文房具屋でバイトをし、マンドリンサークルに所属するごく普通の大学生・香恵。ある日、クローゼットの片隅で、彼女が見つけた一冊のノート。前の住人が置き忘れたと思われるそのノートに書かれていたことは…。 正直な話、かなり最初の部分でラストの展開までが一気に見えたので(珍しいわ〜)、その「設定」の上で、どういうふうに終わらせるのかな?という興味で読んだのですが、なるほど、意外性はありませんでしたが、どうしてなかなかステキな終わり方... ...続きを見る
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コメント(10件)

内 容 ニックネーム/日時
こんにちは。
雫井さんの作品は、これが初めて読む本でした。
展開やリンクが先によめちゃう・・・でも、
そのせいで面白さが半減することはないってのは、
同意見です♪あのシーンが読めたことだけで満足です。
流行本・・・って、敬遠して読まなかったりしてた時期も
あるんですが、面白いものは素直に読んどくべきだなって
最近思うようになりました。

nanayo
URL
2006/08/17 10:15
こんにちは。
雫井さんの作品は、これが初めて読む本でした。
展開やリンクが先によめちゃう・・・でも、
そのせいで面白さが半減することはないってのは、
同意見です♪あのシーンが読めたことだけで満足です。
流行本・・・って、敬遠して読まなかったりしてた時期も
あるんですが、面白いものは素直に読んどくべきだなって
最近思うようになりました。

nanayo
URL
2006/08/17 10:15
>nanayoさん
TBとコメントありがとうございます^^

そう!想像していたとおりなのに、泣けちゃうんです。
バス停のシーンのあとはたまりませんでした。
ほんと、電車の中じゃなくて良かった(^o^;
こばけん
2006/08/18 02:56
はじめまして。TBさせていただきました。
この本を読むまで雫井さんを知らなかったんです・・・。
でもこの本に出会えてよかった!って思えた作品でした。
ホント泣けました。
他の作品はサスペンス調のようですが是非読んでみたいと思いました。
Spica
URL
2006/08/19 12:36
>Spicaさん
TBとコメントありがとうございます。
ミステリーから雫井さんを読み始めた私としては、「あの雫井さんが!」と驚きましたが、どうしてどうして、とても感動的でした。
『犯人に告ぐ』はおもしろいですよ!
こばけん
2006/08/19 19:02
ありがとうございました!涙で本をぐちゃぐちゃにしないように気をつけましたのでご安心を…!今度「犯人に告ぐ」も貸してください(笑)。
chiekoa
URL
2006/09/11 12:58
>ちえこあさん
コメント&トラバありがとうございます。
とってもいい話を読んだ気持ちになる本ですよね。

はいはい。『犯人に告ぐ』も持ってますよ。
貸し出しリストに入れておきましょうねw
こばけん
2006/09/12 11:02
こばけんさん、万年筆に詳しいんですね(chiekoaさんのところで見ました)出てくる万年筆は形が思い浮かんでいましたか?万年筆、憧れますが、あんなに高いとは…
Amazonのお薦め本、図書館で借りて全部読んでいる私…
流行りモノに弱い女なのかもしれません。
なな
URL
2006/09/13 09:42
>ななさん
詳しいってほどでもないですが、なんか好きなんですよね。
香恵ちゃんのドルチェビータがどんなのかは知りませんでしたが、速攻でネットで調べました。
仕事中の現実逃避用ブックマークに筆記具の通販サイトを登録しているので(笑)
ちなみにここ(↓)
http://www.pen-house.net/
大学入学祝いとはいえお父さん奮発しましたよね。
私の使ってるのなんて、そんなに高くないです。

ほんと、Amazonのおかげで読みたい本が増えてしまって大変です(^o^;
こばけん
2006/09/14 03:15
私もこばけんさんと同じところで涙してしまいました。
お昼休みぐすぐすしてしまったのですが、通勤途中じゃなくてよかったです。

ところで筆記具の通販サイトのぞいてきました。
ついついほしくなってしまいますが見てるだけでも楽しいですねー。
june
URL
2006/11/28 22:44

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