こばけんdays

アクセスカウンタ

zoom RSS 【読んだ本】流星ワゴン/重松清

<<   作成日時 : 2006/08/22 21:36   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 7

画像
告白しますと初・重松清だったんですが、
これは共感できなかったなぁ。
子どもがいないからかなぁ。
椿山課長はメチャメチャ泣けたんだけどなぁ。。

主人公の永田一雄が、38歳の晩秋、
自分と同い年の父親に出会う物語、『流星ワゴン

末期ガンで死の床に伏している63歳の父を、
瀬戸内海の見える故郷の病院へ見舞いに行った帰り途、
一雄は、酒に酔ってぼうっとした頭で、
「もう、死んじゃってもいいかなぁ」と思う。
東京の西のハズレにある自宅マンションへ帰る電車の中で、
「死んじゃってもいいんだよなあ、べつに。
 なーんかもう、疲れちゃってさあ、ぼく、もうヤなんだよね…」
と心の中で呟く一雄。
物語は冒頭から、疲れたサラリーマンの悲哀たっぷりな感じで始まる。

24歳の時に社内恋愛で結婚した同い年の妻・美代子から、
離婚を切り出されたのは、秋の初め頃。
以来、来る日も来る日も「離婚してくれ」と懇願してくる。

私立中学の受験に失敗し、地元の公立校に通う中学一年の息子・広樹は、
夏休み明け頃から学校を休みがちになり、
家では父や母に暴力を振るうようになってしまった。

そして、当の一雄本人は、
中高年社員を対象にしたリストラに引っかかってしまい、7月に職を失った。
ハローワークに通い詰めても、次の就職先が見つかる気配は一向にない。
飛行機に乗って頻繁に父の見舞いに行くのも、父が心配だから、というよりも、
見舞いのたびに父が封筒に入れて渡してくれる「御車代」の5万円が、
生活費の足しになるから、というのが正直なところだ。

そりゃぁ、「死んじゃってもいいかなあ」と考えてしまうのも無理もないシチュエーションである。

そんな“夢も希望もない”一雄が、地元の駅前のロータリーでぼんやりしているところに、
橋本さんと健太くんという親子が、ワインカラーのワゴンで一雄を迎えに来ます。

ワゴンに乗ってやってきたのは、5年前に交通事故で死んだ親子。
33歳で初めて免許を取り、さっそく買ったオデッセイに妻と息子を乗せて
ドライブに出かけている最中に、スピードを出しすぎてカーブを曲がりきれず、
対向車線にはみ出してしまいトラックと正面衝突してしまったのです。

なぜ彼らが一雄の前に現れたのか、ほんとうのところは解らないが、
一雄は、5年前に死んで8歳のままの健太くんに導かれるまま、オデッセイに乗り込み、
3人を乗せたワゴンは、そのまま夜のドライブに走り出します。
一雄にとって「たいせつなところ」へ連れて行くためにワゴンは夜通し走り続け、
夜が明けると、橋本さんと健太君の二人は消えて、
一雄は「たいせつなところ」に着いているのだという。

気が付くと、一雄は昼間の雑踏―新宿のスクランブル交差点に立っていた。
それは、去年、つまり一年前の夏の午後だった。
そこで一雄は、38歳の頃の父親に出逢うのです。
同い年の父は、ここでは朋輩(ほうばい)で五分と五分の付き合いだから、
「お父さん」ではなく、自分の名前・忠雄の一文字を取って「チュウさん」と呼べと言います。

橋本さんのオデッセイに乗って、一雄が毎日連れて行かれる「たいせつなところ」は、
妻の浮気現場や、模擬テストがうまくいかず息子が落ち込んでいるところなど、
今となっては決してやりなおすことの出来ない、つらい過去の日々ばかり。

死者の運転するワゴンに乗せられ、自分の人生をもう一度辿っているということは、
自分は駅前のロータリーにあるベンチで眠ったまま死んでしまったのだと考えはじめ、
初めのうちは堪らないと感じる一雄だが、いくつもの過去を再体験するうちに、
後悔の念ばかりでなく、次第に家族の幸せを願うようになってきます。

橋本さんのオデッセイでドライブを続けるうちに一雄は、
この親子のこともよく解ってくるようになり、橋本さんの健太くんへの気持ちに触れます。
そして、チュウさんとも、たびたび会って話をし、
子どもの頃のように「カズ、カズ」と何度も呼ばれるうちに、
あれほど憎くて、自分とはまったくそりが合わない独善的な頑固者だと思っていた父親の、
自分に対するほんとうの思いが、少しずつ伝わってきます。

子をもつ親の気持ち。
息子を思う父親の心。
一雄と広樹、橋本さんと健太くん、チュウさんとカズ。

健太くんや広樹と同じ年頃の子を持つ親なら、
涙なしには読めない物語だと思います。
冒頭、共感できなかった、と書いた私ですら、
それぞれの父親が、それぞれの息子への、
一分の偽りもない心からの強い思いを吐露する場面では、
なんだか正体の分からない熱いものがこみ上げてきて、洟をすすっていたのですから。

でも、一雄、しょぼいよなー。
同世代、ていうか同い年なんだからさー、がんばってくれよー!
って思いながら読みました。

にほんブログ村 本ブログへ ←参加してます

流星ワゴン』 重松清 著
講談社 ¥ 730 (税込み)
流星ワゴン (講談社文庫)

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(7件)

内 容 ニックネーム/日時
うわ。買ったばかりの本です。
平積みで本屋さんのおすすめマークがついていたという理由で買いました。
読んでから、こばけんレビューを読みますね。
ねね
2006/08/26 18:39
>ねねさん
あー、そうしてください(^o^;
私にしては珍しくネガティブレビューなので。。

号泣したという人もおり…(KOHさんだけどね)
こばけん
2006/08/27 00:42
こんにちは。
重松作品で初めて読んだのがこれでした。

私は、年齢性別とも主人公とちがうにも関わらず、
けっこう入り込んでしまった作品でした。
とってもメルヘンでファンタジックな展開なのに、
父との関係、妻とのすれ違い、我が息子との距離など
抱えている問題はとってもシビアで現実的・・・・。
その後、何冊か重松作品を読みましたが、
シビア・・・でも、ラストに少しの救いの光がある
っていう作品が多いですね。
好きな作家さんです☆
nanayo
2006/08/27 21:03
泣けませんでしたか・・・
確かに、冷静に読めばぬるいファンタジーだし、一雄、しょぼいです。
でも共有できるしょぼさなんですよ。少なくとも私には。

>同世代、ていうか同い年なんだからさー、がんばってくれよー!
自分に言われたと思って、がんばって生きていきますです(笑)
KOH
URL
2006/08/27 22:28
>nanayoさん
ラストに救いの光が見えるのは良いですね。
重松さん、他にも読んでみようと思います。

>KOHさん
それか!
しょぼさが共感できちゃったから、
近親憎悪(笑)でなけなかったのかも。
こばけん
2006/08/28 20:15
読み終わりました。
ななめ読みしていたこばけんレビューもちゃんと読みました。
黒ひげ危機一髪と、チュウさんと一緒に撮った写真が
でてきた場面が好きです。

「泣く」というところまではいきませんでしたが、
なかなかおもしろかったです。
ねね
URL
2006/09/05 21:18
>ねねさん
あぁ、あそこ、グッときますね。

グッときたところはいっぱいあったんですが、
泣くというところまではいかなかったんです。私も。

本文にも書きましたが、チュウさんとカズ、一雄とヒロ、橋本さんと健太くん、それぞれに父と子のつながりが感じられて、グッときました。
ファンタジーの読み物としては、とても良い作品だと思います。
世の中のどこかに、夏休みの読書感想文の題材にこの本を選んだ小学5〜6年生の男の子はいないかなぁ。。
こばけん
2006/09/06 03:38

コメントする help

ニックネーム
URL(任意)
本 文
【読んだ本】流星ワゴン/重松清 こばけんdays/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる