【読んだ本】東京奇譚集/村上春樹


「新潮」2005年3~6月号にて発表の4篇に、
書き下ろし1篇を加えた、5編からなる短編集。

5篇とも読み終わった時点でようやく気が付きました。
「ヤラレタ」と。
一篇、もう一篇と読んでいくうちに、すっかり、
例の村上春樹の“ムード”に飲まれてしまっていたことに気づくのです。

一篇目の「偶然の旅人」の冒頭で、この文章の筆者である
村上春樹自身が顔を出し、
自身の身の回りに起こった“不思議な出来事(=奇譚)”について、
誰かに話して聞かせたとしても、彼が作家であるが故に
「どうせ作り話でしょう」と思われてしまう、とコボすのだ。

そんなこと言われて物語に入っていけば、ついつい、
「ほんと不思議だけどそんな事があったんだぁ…」なんて思っちゃうじゃない。
なんて純心な私なのでしょう。

二篇め「ハナレイ・ベイ」、
「どこであれそれが見つかりそうな場所で」、
「日々移動する腎臓のかたちをした石」と読み進んでいくうちに、
なんとなく違和感を感じてくるのだけど、そこは自分を信じ込ませちゃう。

で、ラスト一篇の書き下ろし作「品川猿」で、ありえねぇ、と。
誰がどー考えたってツクリバナシじゃねぇか、と。

けれどそうやってケムに巻かれるというか、村上春樹ムードにいいように巻かれてしまうのが、
そんなに嫌じゃない、いやむしろ好きなのかも。
よくよく考えると村上春樹の作品て、どれもこのムードが漂っていると思う。

ということは、村上春樹が基本的に好きな人にはオススメの一冊ということになるのかな。

東京奇譚集』 村上春樹 著
新潮社 \1,470-

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