【読んだ本】変身/東野圭吾

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まだまだ東野圭吾読者をかたれるほど読んではおらず、
『ゲームの名は誘拐』『魔球』に続き、『変身』は3作目。

この世代のミステリー作家は、プロットやトリックの組み立てがシッカリしているので、
読んでいて大変楽しい。
次は、次は、と引き込まれるように読んでしまいます。
だからこそ、『g@me』(主演:藤木直人、仲間由紀恵)といい、
変身』(05年11/19公開、玉木宏、蒼井優主演)といい、
次々に映画化されるのでしょう。

『変身』というと、連想はF・カフカのほうへ行ってしまいがちですが、
どうせ外国文学の作品を連想するなら、
私的にはソビエト文学の『犬の心臓』(ミハイル.A.ブルガーコフ・著)なのです。
脱線しますが、ブルガーコフとは、ソビエト体制時代の文筆家で、
圧政や粛正に対する批判をことごとく作品に込めた結果、
その小説、戯曲、論評などがことごとく“発禁”になったという反体制作家。
『犬の心臓』では、野良犬に、死んだばかりの男の脳下垂体と睾丸を移植したところ、
「犬」は、体の毛が抜けて二足歩行をするようになり、会話能力も身につけ、
バラライカを弾いて騒いだり、飼い主である外科医に向かって憎まれ口をきいたり、
まさに人格破綻した「人間」のように変貌していく、という
グロテスクでありながら、強烈な社会風刺、体制批判が込められた小説。

東野圭吾の『変身』は、
平凡な青年・成瀬純一がトラブルに巻き込まれ、銃弾によって脳の一部を損傷。
世界初の脳移植手術が行われるところから始まる。

移植したのは脳の一部ではあったものの、その影響か、
徐々にだが確実に自らの人格が変貌していくことに気づき悩む純一。
あれほど愛した恋人のことも、いつの間にか愛せなくなっていることに気づく。
しまいに「成瀬純一」という自分自身がいなくなってしまうのではないか、と
恐怖に怯えながら、自分に脳組織の一部を提供したドナーの正体と真実に迫る、
というSFかつミステリー。

物語のラストに向けて、純一が辿りついた真実とは?
そして純一の選んだ運命とは?!
という感じで、ネタバレするので書きませんが(笑)、最後まで惹き付けられました。

だだ、『魔球』を読んだ時にも感じたのですが、読後の感覚として、
なんとなく遣る瀬無い、というか、狂おしい思いが残ってしまいます。
もしかしたら、それが東野圭吾の作風なのかなぁ…と思いつつも、
次は最新刊『容疑者χの献身』を読もうとしているのです。

変身』 東野圭吾・著
講談社文庫 \620-

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この記事へのコメント

experience#21
2005年12月16日 18:20
コメント&TBありがとうございました。この本は小説特有の、心理描写が面白かったのですが、心理描写が詳しい小説を映画化するとがっかりする事が多いですね。思い切って映画は映画の面白さが出ればいいのですが。
こばけん
2005年12月16日 18:41
その通りですね。
良い作品だから映画化するのでしょうけど、
原作は原作として独立しているのだから、
映画も一個の独立した作品になることを
目指さなければならないのでしょうね。
chiekoa
2006年02月01日 14:08
『容疑者χの献身』発売当時からずーっと図書館の予約待ち…みなさん早く読んで次回してください!(泣き)
こばけん
2006年02月01日 17:03
>ちえこあさん
TBありがとうございました。
『容疑者x~』は、まだ予約待ちですか!(◎_◎)
このミス1位+直木賞で拍車が掛かっているのでしょうね。
その上、本屋大賞まで獲っちゃったら…
hitoe
2006年02月25日 01:57
私は主人公の代わっていく描写の細かさに惹かれます。
まだまだ東野圭吾初心者なので他にも読んでみる予定!
コメント&TBありがとうございました。
2006年06月19日 16:02
TBありがとうございます。
東野さんの新刊が出ないもので只今再読月間中です。
デビュー当時からの東野ファンでありながら、この頃の異常な売れ行きに目が点・・・。好みはあると思いますががっかりする作品はないと思います。どんどん読んでください。

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