【読んだ本】チーム・バチスタの栄光/海堂尊 (本文)

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今年の初めにどーんと平積みされていたときから気になっていて、
読みたいなぁ、と思っているところへ、
4月にはビッグコミックスペリオールで連載の「医龍」がTVドラマ化。
世はバチスタブームなのか?と思いつつ、
ドラマが終わったあとにようやく読みました。
作品は、さすが現役の勤務医が書いただけあって、
ものすごいリアリティ!
もちろん小説なので明らかなフィクションもあるのですが、
リアリティの上に創作を載せているので、無理がない。
素人の私は、新鮮な驚きと発見をしつつ夢中で読みました。

東城大学医学部付属病院へ、
アメリカの心臓専門病院から心臓移植の権威、桐生恭一が招聘され、
心臓移植ができない代わりに行う「バチスタ手術」を専門に扱う、
“チーム・バチスタ”が鳴り物入りで編成された。
以来、チームは手術成功率100%、26連勝という輝かしい実績を誇り、
「チーム・バチスタの奇跡」「グロリアス・セブン(栄光の7人)」と賞されている。

しかし、そのチーム・バチスタによる手術で、3例立て続けに「術死」が発生。
チームを率いる桐生助教授、および桐生を招聘した高階病院長は、
この術死の連続発生に疑惑の気配を感じ取る。
高階病院長は、手術中に患者が死亡するには三つの可能性があるという。
ひとつは、運がなかった。たまたま患者が手術に耐えられず死亡した。
もうひとつは、医療事故。手術中に何らかのミスが医療チームにあった。
そして、悪意によって事態が引き起こされた可能性。

可能性としてはそうかもしれないが、3つめの可能性は重大である。
言い換えれば、それは「殺人」ということなのだから…

しかし、確証を得ない以上、大学病院のリスクマネジメント委員会を直ちに動かすのは、
それこそリスクが高すぎる。
そこで病院長が案じた一計は、神経内科の窓際万年講師、田口公平に、
チームの内部調査をさせることだった。
最悪の場合、チームの連続術死の陰で“人身御供”となる可能性のある役回りだが、
田口は、渋々この調査担当を引き受けざるをえなくなる。
同時に、不定愁訴外来を担当する田口講師は、この物語の主人公となるのです。

「グロリアス・セブン」と呼ばれるように、チーム・バチスタは桐生を筆頭に7人。
桐生恭一助教授、バチスタ手術の世界的権威。フロリダの心臓疾患専門病院に10年間勤務。
第一助手の垣谷雄次講師、胸部大動脈瘤バイパス手術の専門家。
第二助手の酒井利樹助手、自らチームへの参加を志願し、桐生に心酔している。
麻酔医の氷室貢一郎講師、手術室において正確無比な判断を降す。
臨床工学士の羽場貴之室長、人工心肺のスペシャリスト。
看護師の大友直美、発足メンバーの星野看護師の後任としてチーム入り。
病理医の鳴海涼助教授、桐生の義弟で、桐生と同時にアメリカから招聘された。

田口は、過去の手術例のカルテを読み込み、
メンバー一人ひとりの聞き取り調査、チームによる手術現場の観察などを通じて、
チーム自体に“システム・エラー”が生じていないか、
術死の原因はどこにあるのかを解明しようとしますが、
ヒントとおぼしきものすら一向に見えてこない。

そこに現れるのが高階病院長の人脈によって、今回の調査に送り込まれた、
厚生労働省の技官、白鳥圭輔。
コイツがまたクセ者で、他人の立場や感情をまるで慮(おもんぱか)らない輩。
田口はますます翻弄され混乱するが、コイツとタッグを組んで調査を進めることに。
急ごしらえの凸凹コンビの結成で、ストーリー展開のコミカルさはいや増すが、
はたしてこれで、チーム・バチスタの連続術死の真相は究明できるのか?
医療過誤か殺人か、チームを、大学病院を蝕んでいる病巣は一体どこにあるのか。
チーム・バチスタの栄光の陰に隠れたもう一つの貌とは…

医学的な知識や手術室での描写など、
現役の勤務医だからこそ描けるリアリティに溢れていますが、
それだけでなく、医局上層部の政治バランスや昔からの人間関係、
医局の噂話の収集と伝搬に血道を上げる、いわゆる小物な人物など、
エンタテイメントらしく面白く描いてはいるけれど、
まったくの空想の出来事や人物なのではなく、
おそらく実際にあった出来事や人物がデフォルメされているのだと想像します。
それゆえに読者は、リアリティや面白さを疑いなく感じ取ることができるのでしょう。

かくして物語は、連続術死の疑惑が解明され、
それぞれの登場人物も、大学病院も、新たなステージへと歩み始めることになるのですが、
物語の結び方も爽やかで、読後感が良いです。
医師ならではのリアルさとはべつに、新人とは思えない力量を感じさせる作品です。

※当初は、うっかりフライングでアップしてしまったアーティクルに
 上書きしようと思っていましたが、
 こんなコトもあったよね、といつか笑える日が来るさ、ということで残してみましたw

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チーム・バチスタの栄光 海堂尊 著
宝島社 ¥ 1,680 (税込み)

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この記事へのコメント

2006年08月14日 19:39
表紙のインパクトにつられて、手にとってしまいました。
医療モノは嫌いなほうじゃないのと、
この作品は専門用語がいっぱい出てくる割には
読みやすく書かれているので楽しく読めました。
前半は、ちょっと展開が地味な気もするのですが、
後半 白鳥登場以降は、そのキャラクターの変さ加減で
面白さUPでした☆
2006年08月14日 20:55
おもしろかったと思うものの、ある新人文学賞の「大賞」となるとどうなのだろうと、首を傾げざるを得ないという部分が気になりました。
いや、もともとこの文学賞自体が、冠につけたほどの内容の作品を生み出してきていないという事実はありますが・・。
あ、「廃用身」(日下部羊)はお読みになりましたか?医療モノでは、昨今出てきた作品のなかでも秀逸の出来の奇書です。できましたら、ハードカバーがオススメです。
2006年08月14日 22:33
こばけんさん、こんばんは。
この表紙はインパクトありますよね。
本好きな方のブログでもたくさん見かけました。そしてそんな本は外れなしなんですよね。

こばけんさんの声、素敵でした。
こばけん
2006年08月14日 23:47
わー、みなさん怒濤のTB+コメントありがとうございます(T_T)

>nanayoさん
白鳥のキャラクターが作品に与えたインパクトは大きいですよね。
読み終えたのは2週間ほど前だったのですが、その間に白鳥の存在感が大きくなってしまって、今回blogに書くために、ざっと読み返してみて、白鳥の登場タイミングが思いのほか後ろの方だったのに驚きました。

印象としては、もっと手前から出てきていたような感じだったんですが。。そのくらいの存在感です。白鳥技官。
こばけん
2006年08月14日 23:51
>すのさん
新人賞なので大目に見て下さい(^_^;
私は十分楽しんだんですけどねー。

そして、そんなキビシイすのさんが勧めて下さる推薦本、読まないわけにはいかないじゃないですか。またAmazonに貢献しちゃうよw
こばけん
2006年08月14日 23:56
>ななさん
そう、ずーっと気になっていたんですよね、この黄色い表紙。
で、やはり外しませんでした。楽しみました。

> こばけんさんの声、素敵でした。
予想外のコメント有難うございます。
照れますな。。f^_^;
2006年08月17日 09:16
医龍にかなりはまってたマリーです
だからこの本を手に取ったようなもので・・・( ̄▽ ̄) ニヤリ
医療小説にしてはとっても読みやすくって、面白かったですね
こばけん
2006年08月18日 03:00
>マリーさん
TBとコメントありがとうございます^^
「医龍」は私もハマりましたよー。
コミックは一気に読みました。

σ(^_^)もそれゆえに「バチスタ」という単語が頭に残っていて、この小説が気になりまくったんですけどね。
マリーさんの言うとおり、医療という特殊分野を扱っているにもかかわらず、とっても読みやすかったです。
2007年01月10日 20:11
はじめまして。たくさん書いてらっしゃるのに分かりやすく、読みやすい記事で楽しませていただきました。
この本はもうブームも下火になった頃、地元書店の応援をしようと思って←?購入したんですが、時間を気にせず一気に読めました。白鳥が出てくる前は愚痴外来ののんびりした描写を楽しんだりしていたんですが、白鳥登場後は怒涛の白鳥のセリフに引きずられるような読み方でした。前半と後半でがらっと様相が変わる面白い小説だと思います。TBさせていただきます。
こばけん
2007年01月30日 23:19
>リイさんお礼が遅くなりましたが、
コメントとトラバありがとうございます^^
私からもTB返えさせていただきました。
長文にお付き合いいただいて恐縮です。
おっしゃるように前半と後半のテンポの切り替わりが面白いですよね。
私は白鳥のキャラ、好きだなぁ。

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